2013/05/12

【BIG ISSUE】 No.57 Lee Soo Hyuk

冷たいマスク越しの熱い世界

“確かに絵のような美しい方”

古典文学を勉強するときによく見た表現である。他にインスピレーションがわかない慣用句だと思っていた。ある日、2NE1の“It Hurts”のミュージックビデオ時までは。イ・スヒョクはその短い瞬間に痛切な痛みを表現していた。置き換えれば水墨画のような陰影が濃く、同時に22世紀のモダンさが共存する容姿で、キャンバスや夢の中から出てきたのではないかと思った。先日、“Style Minutes”が選んだニューフェイス13人に選定されたイ・スヒョクの顔、17歳からランウェイを歩き、現在はロンドンとパリまで全て異なる表情で、スクリーンやTV画面に映し出された時に忘れられなかったその顔以上に知りたくなった。



インタビュー当日、緊張し約束したスタジオに少し早く到着したが、ドアを開けて驚いた。イ・スヒョクはもっと早く来て、すでに頭の先から足に先まで準備が出来た状態だった。明るく挨拶した彼は、運動選手のように体を解した。そのフォームはさながら水泳選手のようだった。そう言えば、イ・スヒョクの初主演映画『イパネマの少年』では泳いでいる姿が普通ではなかった。海で泳ぐ時に速度を上げると相当なものにするのは難しいことなのである。

「子供の頃は水泳、テコンドー、スケートをしていました。その中で水泳を一番続けていて、初めて主演した映画が泳いでいる映画だったので、良い機会でした。大きな映画ではなく、立つ為のバンドも安全装置もなかったんですよ。本当に一人で海の真ん中、サバが泳ぐところまで行ってみました」

幼い頃の姿はよく想像がつかなかった。イ・スヒョクは何故か今のこの姿のまま生まれそうだからである。

「目立たない方でした。いつも一人でレゴをして、学校が終わったらすぐ家にとび帰って。何でも自分からする方ではなかった」

どうして目立たなかったのか理解できないと疑問を抱いた。それもそのはず、撮影が開始されるとあちこちで感嘆の声が漏れたのである。しばらくすると思わず「美しい」と繰り返し声が出た。カメラからパソコンに転送される写真を見てみようとすると、写真を選ぶことが問題ではなく捨てることが問題だと思った。イ・スヒョクは一瞬たりとも同じポーズをとらない程、エネルギーが溢れるだけでなくハキハキと意見交換し相談してアイディアを出した。情熱的な人だなと思った。



一方、撮影会場にはイ・スヒョクの大きな靴が揃えて並んでいたが、後で聞いてみるとサイズが285mmという。繊細なイメージなのでどれだけ身長があるのか、足が大きいなという考えになることもなく直接聞いてみれば違っていた。自分自身、自分の性格はどうなのか聞いてみた。

「まさに男だと思う。深くもなく浅くもなく。カメラの前では不思議と笑うことが出来なくて」

というイ・スヒョクを検索すると、関連検索語が「笑っている写真」である。どれほど笑顔写真が貴重でファン達が求めているというのだろうか。実際に会ったイ・スヒョクはよく笑う人だった。ポーズを決めているのだが、よろけると笑いカメラマンと話して笑って、チームの人ともよく笑っていた。撮影現場を明るくするその笑いを切り取り、ファンにプレゼントしたいという話も出た。どうやって毎日気分良く日常をもっと公開していかないのかと聞いてみた。

「私は生まれつきSNSのようなものが合わないと思います。Twitterを作ったのも外国で仕事をしていく時に自己アピールもして、携帯電話で連絡するのが不便だから海外の友人と連絡をする為に作ったのです。考えや意見を書くことも、日常を公開することもまだ楽なことではありません。なぜなら私の考えは変化し続けてるんです。経験して新しいことに直面しながらどんどん変化し、流動的ですから」

イ・スヒョクは率直だった。遠まわしに言うタイプではなかったのです。Twitterも本当はイ・スヒョクを名乗ってアカウントに個人的なメッセージを無秩序に送るなどの状況になって作ることにしたと言うのである。彼の日常に対する好奇心と関心がかなりねじれた問題ではないと思う。とにかく、Twitterほど無口な人ではないのが幸いだった。短く発するだけで決して言葉がない訳ではなかった。女性的でもなく、食べ物もよく食べ明るい人なのに、自分の露出に敏感なのは若い時からプロとして生きてきたからかもしれない。

「最初の仕事を始めたのが17歳でした。何をするのかも知らないし、何が起こっても分からないままでした。若かったし、綺麗にしてもらえて、運が良かったから。その時は社会生活が何かも知らずにいたからもう一度してくださいと言われても出来ないと思う。どれほどの恩恵を受けていたのか、モデルの仕事をしながら一歩遅く気がついたんです。モデルの仕事を知って、何も知らずに簡単に始めたので、俳優として活動した時から足りない部分を感じ続けています。特に先輩たちとの仕事をすると特にひどく。モデルもそうだし、俳優もそうでしょうね。使われる側なので、チャンスが来た時に一生懸命すれば次の機会も訪れます」



俳優でなくても、映画のすべてを自分の中に入れることです。今は『ぴったりな服』を着たように俳優として自然な姿をお見せしたい。何かを表現したい欲求、エネルギーが溜まっています。すべてのエネルギーをすべて注ぎ込むことが出来る作品と早く出会いたい


プロとしての姿はなく、撮影時間を言うと普段の休みの日の姿が気になった。忙しく走り抜けてきた彼も心休める時があったのだろうか。

「演技の準備をしながらも強いイメージを抜く為にモデルの仕事を休んでいた時が一番長く休んだ時でした。でも、休んでも変わらないです。映画を観て、音楽を聴いて、旅行に行って。映画は全くジャンル分けせずに観ます。ホラー映画以外は全部観ています。怖いのに、どうしてホラー映画にひかれるのですか。一方のスリラーは本当に好きです。映画を選ぶ時好きな監督の作品を欠かさずに観ようと思っています」

子供の頃から変わらない夢が映画だという。好きな映画と監督の作品をあげるイ・スヒョクの声に映画に対する愛情と興奮と切なさと楽しさが同時に感じられた。

「今は演技をしたいのですが、必ず俳優と言う訳ではなく映画界にとどまっていたいんです。監督をするという抱負のようなものではなく、映画美術で衣装を学び、映画界に長く居たいですね。学校に行くのはだたちょっと早いと思っていますが、いつかは行くつもりです」

イ・スヒョクの夢は映画の全てに抱いているが、一旦ファンの立場になると、彼の演技をもっと見たいのが先だ。『イパネマの少年』から『チャ刑事』、出演したドラマもイ・スヒョクの瞬間的な表現力はカメラに急に撮られた時さえも目立っていたのである。ジェスチャーや表現、体の角度だけでも本当に多くのことを語っていた。

「まだ若いからそうなのか、それとも私が好きな映画がヒューマン映画が多いからか、悪役に惹かれます。スリラー映画の中で悪役をしてみたいと思いっています。あ、年齢がまだ若くても20代前半の役がなくなってしまいました。手遅れになる前に必ずやってみたいです。より多くの人に多彩な姿をお見せするのが目標ではないですが、今は合った服を着たいと思います。あれこれ全てうまくこなすことが出来る能力はまだ私自身ない気がします。に会った服を着て良い姿をお見せしたいと思います」

「ぴったりな服」という言葉をインタビューをする間に数回聞いた。自然と身についた言葉を使っていると思った。演技と映画に対する愛情だけでなく、続けているモデルの仕事の話も聞きたかった。

「今回ロンドンとパリのショーに立ったのですが思ったよりも成功して嬉しかったです。実際にはかなり心配して行ったんです。5年前に行った時はアジアのモデル市場の理解が不足して残念でしたが、今回は違いましたね。私は実際によく分からなかったのですが、先輩たちに聞いてみると“Style Minutes”のニューフェイス13の選定も大きなことだったんですよ。モデルとして何かやり遂げることが出来なくて、後悔した気持ちを軽くして来ました。誰にも頼らず、一人で行ったんですよ。特にパリでは一ヶ月間小さくてかわいいアパートを借りていたのが良かったです。ここにいる時はどうしても仕事の問題で心は焦るのに、そんなこともなくなって戻ってきました」

目の前の夢と少し遠い夢についてのものだった。

「何か表現したい欲求が、エネルギーが網膜体に溜まっていく感じです。撮影がない日を休むことが長くなりました。見ることも多く、湧き出るエネルギーを表に出すことがないから家具を作ったり、絵を描いたり...自分自身を表現することを見つけて、似た悩みを持つ友達ともたくさん話をしています。そのようなエネルギーを全て注ぎ込むことが出来る私の人生の代表作と30歳前に出会いたいです。長くかかるだろうが、今回オスカーを受け取って喜んでいたベン・アフレックの姿を見て『本当にいいな、ああすることができたらなんて良いだろう』という気がするんですよ。ベン・アフレックは俳優として浮き沈みが少しあったけれど、映画界に残って今回のような結果を生み出したでしょう」

恋愛についても聞いてみた。20代半ばの年齢、変わらなかったものもあり変わったものもあった。

「彼女がいればいいけれど、今はまだ恋愛して楽しく遊ぶことはなく、何かを学びたいです。人について学びたいと思い、私と違う仕事をする人と会って、新しい分野について学びたいと思って...互いに刺激し合う関係を望んでいます」

私たちはその強烈な容姿にどれだけたじろぐのか。イ・スヒョクに出会って分かった。私たちが絶えずイ・スヒョクに惚れて、次の行動を気にして、僅かなディテールを知りたくなるのは彼の見た目からではない。そのマスク越しのエネルギー、世界観、夢、何と言っても良い温度と密度の高いまさにそれであった。そしてそれらは、遅かれ早かれどんな完璧な瞬間、配役、機会に出会って瞬時に爆発して、これで今このインタビューを呼んでからは、「予想し期待して応援していた」と密かに満足して欲しい。






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