2011/08/08

『岡山女』

暇なので二冊目。
岩井志麻子はこのくらいの時代ものがやっぱりいい。
このシステム化されて無機質で面白味も無い現代を書いてもなにもそそられない。

『軽蔑』

映画ではなく、小説を読んだ。
中上健次は今まで読んだことなかったし興味もなかったけれど私にはとても読みやすかった。
特にセックスの描写がとても綺麗で生々しく、甘美だけれどいやらしくなくて素敵だった。
終わりにはまだ納得は出来ないけれどそのうちに消化できると思う。
特に好きな部分。
「月があまりに美しいから、汚れたこの世が疎ましくなると、自分は、ひょっとするとあそこの人間で、ここは仮の暮らしなのではないか、と思う。
空に満ち欠けする光る物がかかっている不思議に打たれた時、この世に有り得ない事が起こるという残酷な認識が芽生える。」

2011/08/07

2011/08/07

事実地元の祭りというものに三年ぶりくらいに行った。
その前に祭り以前の話を少し。

地元に帰るということはなんだか神聖な感じがしてちょっと気が引ける。
帰ってもしたかったことと言えば図書館に行って受験生の中で黙々と本を読むこととか、古本屋さんに行くとかそんな些細なことなんだけど毎回欠かさずしている。
古本屋さんって言ってもブックオフだし特に珍しいこともないけど今日は岩井志麻子の『岡山女』を買ってきた。
彼女のせいで岡山のイメージが著しく悪い。
そして昔よく読んでた漫画家さんの本を手にとってなんで私はこれを好んでいたのだろうと
真剣に考えたりしていた。

そして祭りに参加した。
参加というのは少し仰々しい。
カップルの夏の一大イベントの邪魔をした程度だと思う。
屋台とかそういうのも楽しかったけれど八木節踊りを見て初めて愛郷心とかいうものを抱いた。
そこで踊り跳ねる人はみな輝き、私がどれだけ着飾っても彼らには勝てない。
力強く踊る彼らを見てその夜の雨さえもまぁいいかと許した。

テレビの中で泳ぐ金魚

どうして僕じゃなかったの?
なんで僕を選んでくれなかったの?
そんな事なら僕にも出来るのに。
最後まで僕は君の人生に関わることが出来なかった。


僕と君が始めて出会った時のことを暗い独房でずっと考えていた。
僕はやっと出会えたと思ったんだ。
幼い頃に一度だけ見た本物の男に。
それから僕は守られてるなんて勘違いして、
特別だなんてくだらない感情抱いて、
突き放されても必死で縋り付いて、
それでも僕は君を求めた。


そして、あの時のことは今でもまだ考えている。
あの時三重の虹が君にどんな意味を持っていたかは分からない。
でももし僕が君を抱きしめなかったら。
それとも僕が君を全て受け止められていたら。
なにか変わったかな?
そしたら君はまだこの世界にいたのかな。
ロケットに乗って行ってしまうことなんてなかったのかな。
分からない。
総て分からない。
僕はまだここにいるのに。
まだ君を想って息をしているのに。