ガチバンMAX
西東京の高校でヤンキーをやっていた黒永勇人(窪田正孝)は高校を卒業して進学したり、働くと決めた友人達に辟易し先輩の後を追って渋谷にやってきた。しかし、そこにヤンキーの姿はなく、頼っていたよっちゃん先輩(鈴之助)はティッシュ配りをしながら、彼女ののんのん(鎌田奈津美)の売春を斡旋する仕事をしていた。
窪田正孝主演のガチバンシリーズの第1作目。窪塚俊介、佐野和真のガチバンとは違い、高校をリタイアするところから始まります。そうです、もはや「ガチバン」とはの状態です。学校の中に居れば、モラトリアム期間の姿としてのヤンキーが認められていたところから、抜け出すというのはつまり「なんでもない存在」になるということを意味します。それでも、ヤンキーであることを最大のアイデンティティに感じている勇人のモチベーションの根源は誰にもわかりません。ヤンキーとして憧れていたよっちゃん先輩の姿に失望してもなお、勇人はヤンキーで居たいと望んでいるのです。黒永勇人のガチバンでは、仲間の不在、裏切り、孤独からの愛着心が中心にあり、例えばそれを表現しているのは勇人とよっちゃん先輩の関係性です。勇人は仲間だと思ってた人間たちに裏切られ、憧れていたよっちゃん先輩のヤンキーとして牙の抜かれたような姿をみて失望し、更に信頼を逆手に取って裏切られ、それでも他になにもない勇人を気にかけてくれた先輩への愛着で自分が傷ついても助けに向かいます。それはもう、見ているこちらがつらくなる程に負のスパイラルに嵌まっていきます。勇人の唯一の決めごとは「ヤンキーであること」それ以外は何もないのです。それは、この後のガチバンでも続くテーマでもあり、それ自体が勇人を苦しめて行くことを、1作目から感じさせていて、やるせない。物語として素晴らしい、という話ではないけれど、自分はこれから何をしたらいいのか、何をすればいいのか、何をしなくてはいけないのか、何に夢を抱けばいいのかという「モラトリアム期間」の苦しみを表現していると思いました。それは千葉から出てきて売春を続けるのんのんも同じなのでしょう。新たなガチバンシリーズとして、これから良い感じに暗くなると想像させるガチバンMAXでした。
ガチバンMAX2
渋谷のヤンキー集団を壊滅させた黒永勇人はよっちゃん先輩とのんのんと共に歌舞伎町にやってきた。そこでは歌舞伎町高校が力を持ち、「歌舞伎町風紀委員」として牛耳っていた。
歌舞伎町にやってきた理由ははっきりと明らかになっていないれど、恐らくのんのんを「立派なデリヘル嬢」にするためだったのかと思わせるくらい、のんのんが良い味を出している第2作。勇人はますます自分の未来が見えなくなっているし、よっちゃん先輩は拍車をかけたように駄目人間になっているし、そんな中一人働くのんのんが愛おしい。「よっちゃんは私の為に一生懸命してくれてるし、勇人もいるし、楽しいからいいの」と言っていたのんのんは強い子だなと思っていたけれど、やっぱり一度心の均衡が崩れてしまえば10代の女の子で、彼氏であるよっちゃん先輩ではなく、勇人に涙を見せるところも何ともいえない。結局、彼らのもとを去るのんのんには強い意志を感じたけれど、彼女の将来が明るく輝いては見えてこないのが切ないです。その彼女の為に拳を上げた勇人に代償としてお金を渡した場面も印象深い。勿論、のんのんを失ったよっちゃん先輩もやっと自分を顧みる機会となった事件として大きく影響し、その所為で彼が「大人」になろうとしていきます。でも、そこにも希望は見えない。勇人の孤独感が加速するガチバンMAX2でした。
ガチバン アルティメット
東京で喧嘩に明け暮れていた黒永勇人は、またもやよっちゃん先輩に裏切られついに逮捕され、少年刑務所におくられてしまう。そこで出会ったのは最強の番長、森紋児。強いと聞いて戦わずには居られない勇人をいつもはぐらかし、喧嘩を避けていた紋児には理由があった。
MAX、MAX2と観てきて、それ以前のガチバンを観て居ない私にとっては、前2作品と少し毛色の違うコメディータッチな物語に少し困惑しました。勇人は三度の裏切りに「誰も信用しねえ」という孤独感を強めているのに、紋児は仲間を引き連れ、彼女?の為にはやく出所しようとしていて、その正反対の姿がとてもチグハグです。「ああ、元々ガチバンってこういうもんだったんだろうな」とは思いましたが、やはり悩みもないセレブヤンキーの話だったらそんなに好きにならないと思います。結局、最後勇人が大笑いすること以外そんなに印象に残らなかったガチバン アルティメットでした。
ガチバンMAXIMUM
少年院から戻ってきた勇人は最初によっちゃん先輩を殴り倒し恨みを晴らすが、行くところなどなく、結局よっちゃん先輩のところに転がり込む。よっちゃん先輩は韓流ホストクラブで似非韓国人としてホストをしており、これからはちゃんと働かなくてはと思っていた勇人もそこで一緒に働き始めた。しかし、またもやよっちゃん先輩の所為で、地下の闘拳クラブで戦うこととなる。
少年院から出てきて早速先輩に会いに行く勇人も、恨みを返してもなお先輩と居る勇人も、前科がついたことに対して先輩に責任を求めない勇人も、全部健気でかわいい。ここまで来ると本当に捨て猫みたいなツンデレ感。きっともう勇人には先輩しかいないんですよね。だから、ビルの屋上で「俺はここ(ホストクラブ)で初めて友達と呼べる人が出来たんだ」というよっちゃん先輩を前にしても、今更つらいみたいな気持ちは抱かないのだと思います。「俺はあんたのなんなんだよ」的なアレね。尽くしているという訳じゃないけど、先輩の尻拭いは全部させられている勇人が、ホスト達に向かって「お前たち先輩の友達じゃねえのかよ」「じゃあいいわ」と言って殴り倒すところは本当にぐっと来るしかない。それなのによっちゃん先輩ったら・・・。ところで、大久保公園の鉄格子感、やっぱり不良映画と良くマッチしてたので、もう一度あそこで撮影してほしい。健気過ぎる勇人が見所のガチバンMAXIMUMでした。
ガチバン アルティメイタム
よっちゃん先輩のとばっちりを喰らってヤクザから逃げていたところを大和田銀次(崎本大海)に助けられた勇人。そのまま銀次のところに転がり込んだ勇人は、バイカー集団のリーダーの兄を慕う銀次に「どいつもこいつも群れやがって」という。そんな中、少年院から戻ってきた森紋児は自分が逮捕された原因の銀次とカタを付けようとやってきて、勇人と再会する。
いつもの通りよっちゃん先輩に捨てられた勇人が出会ったのは兄を慕い(というのは自分を納得させるためだけの言い訳)、同時に恐怖する銀次。所謂「毒家族」だったのでしょう。そんなことは勇人にはどうでも良く、ただ誰かに縛られて生きる銀次をみて「なぜ群れるのか(一人ではいけないのか)」と問う。実際、勇人と銀次の孤独な状況はあまりかわらないのに、大きく違っているのは、一人で居るかつるむかという点でしょうね。誰かを頼りたい銀次と、それを諦めた勇人。それがとても対照的です。一方の紋児も少年院から戻ってきたと同時に、不良仲間を失い、一人になってしまいます。けれど、紋児の場合それが大きな問題ではないのは、彼の性格や人望できっとこれから「一生一人」という想像ができないからなのだと思います。彼は人を惚れさせて、ついていきたいと思わせる何かがある。あと、お金もある。「昨日の敵は今日の友」って本気で信じてそうだし。ビジュアル的なことを言うと、今回勇人は小さなリングのピアスをしているのですが、なんかいい。とてもいい。明らかに前後篇的な作り方のガチバン アルティメイタムでした。
ガチバン アルティメイタム2
勇人と紋児の喧嘩中に後ろから紋児を刺した敗者の銀次は、事故によって負傷。刑務所から戻ってきた銀次の兄の金次はチームの面子には興味はないが自分の道を邪魔する存在として、紋児たちに宣戦布告。刺された紋児に代わって勇人は決戦の場所に向かう。
おおよそ、刺された紋児と騒ぐ周囲で終始するのだけれど、ここでのポイントは紋児に代わって金次と戦う勇人の心情だと思います。仲間がいない勇人にとって、愛着の湧いた人間の一人になってしまった紋児を、もう放っておける訳がありません。頼ることが出来ないのに、相手が困って居る時には自分のことなんてどうでも良いかのように投げ出していっちゃうのだから、凄いよなあ。それが勇人の考える「ヤンキー」なのだろうか。そうかもしれないな。深いな・・・ヤンキー道・・・。そこまでするのに、最後は紋児と一緒に居られないと考えてしまう勇人は、自分をどれだけ孤独に追い込んだら気が済むのだろうか。ちょうどいいタイミングでクソよっちゃん先輩からメールが送られてくるし、どう考えてもそっちは地獄だろと画面に突っ込まずには居られませんでした。孤独で居ることが勇人のアイデンティティになりつつあるガチバン アルティメイタム2でした。
ガチバンSUPER MAX
よっちゃん先輩に連れられて北関東のごみ処理現場にやってきた黒永勇人。そこの仕事になじめる訳もなく、あてもなくコンビニのベンチに座っていると、見かねた店員に賞味期限切れの弁当を渡される。その店員は北関東の軍団「飛羅睨悪」の元総長京平(遠藤雄弥)の恋人のみゆき(近野成美)で、彼女は「飛羅睨悪」に恨みを持った人間たちによって拉致されてしまう。
アルティメットも監督は違いましたが、このSUPER MAXの監督である権野元は勇人の心情を今まで以上にはっきりと描いています。例えば、勇人とよっちゃん先輩の喧嘩で、先輩に対してつまらねえ生き方をしてると罵った勇人に先輩は「自分にありもしない希望を抱いてんじゃねえ」と一喝します。これは、よっちゃん先輩には珍しく、正論でしかありません。それを言われて勇人は殴りかかるしかなくなり、北関東の田舎でささやかでも確実な生活を送ろうとしている京平のことも馬鹿にはできなくなります。自分はどうなりたいのか、再び悩むことになります。それが今回の一番のポイントです。京平が「ここでガキ育てて、そいつが立派な人間になれば幸せ」的な事を言うのですが、それが理解でき過ぎる。誰もが東京に行って一旗上げられるわけでもない。世の中に名前を響かせることが出来る訳じゃない。だけど、自分はここで生きていて、その中で手に入れられる幸せをちゃんと掴もうとしている。その意思が京平から痛いほど伝わってきます。なにもない国道沿いに突如現れたようなENEOSの隣のデイリーヤマザキ(夜11時閉店)。この情景の北関東っぽさといったらない・・・。風俗街を自転車で2人乗りするシーンも最高。結局勇人にできることは人を殴って自分を貫くことしかなく、一生懸命生きる人たちの前から逃げ出すしかなくなったガチバンSUPER MAXでした。
ガチバンWORST MAX
東京に戻ってきた勇人は、オラオラ系モデルにスカウトされたよっちゃん先輩の事務所にモデルのマネージャー(セキュリティー)としてスカウトされる。勇人が担当することになったモデルの紅井烈央(荒井敦史)は人を信じず、誰にも期待せず、裏稼業の闇金の仕事をしていた。その闇金の仕事に嫌気がさしていた勇人はある日、レオから金を借りていた三保(尾崎ナナ)と出会う。
この物語で、新たなダークヒーローのレオが登場します。とことんひとでなしなレオについては「ガチバン TRIBAL」を観てもらえばいいと思うのですが、私は観てないので省略します。この物語で勇人はよっちゃん先輩に「俺に夢の見かた教えてよ」と言い、自分の中になくて生きていく上で必要なものについて考え始めます。夢を語って目を輝かせる先輩が羨ましかったのかもしれません。それでも、今ままで想像したこともないものを簡単に手に入れられる筈もなく、だからこそ同じように未来の見えなかった三保に親しみを感じたのだと思います。三保に言われた「ありがとう」はどれだけ勇人にとって大きかったのか。その人に裏切られた悲しみはどれほど深かったのか。でも同時に、三保に呼び出された時には総てを悟っていたようでもありました。「お前は自分がクソであることを分かっていない」とレオは勇人に言いますが、その言葉はSUPER MAXのよっちゃん先輩の言葉にも通じていて、自分のことから目をそむけていては永遠にモラトリアム期間から抜け出せない。どれだけ目の前の相手を殴っても、何も変わらない。最後はまたよっちゃん先輩に拠り所を見つけてしまう勇人のガチバンWORST MAXでした。
ガチバン スプレマシー
一度はまともに働いてみたものの、勤まる訳もなく一から始めようと再度高校入学を目指すが、何の因果かその高校は森紋児の通う衣笠高校だった。一方の森紋児は留年を繰り返し、自分の後見者となる人間を待っていた。
基本的に勉強してるだけの今作。鉛筆削りの営業として働き、上司から罵られても殴ることなく踏みとどまる勇人を見ていると、少し悲しい気もしました。それはきっと勇人自身も思っていたことで、彼にとってヤンキーであることを捨てることであり、だからこそ学校に戻ろうとしたのだと思います。一生懸命勉強する姿をを茶化すよっちゃん先輩に「こんな俺でも期待してくれる奴がいんだよ」と言う勇人の言葉は、どことなく嬉しい気持ちがこもっていました。勇人の営業スーツ姿が見られるガチバン スプレマシーでした。
ガチバン スプレマシー2(黒永勇人不在)
カリスマモデルとしての地位を失くし、闇金の裏稼業からも足を洗うことになった紅井烈央は、補助金目当てで衣笠高校の定時制に入学する。けれど、寝ているばかりで、彼を慕い追って来た川崎心愛とカツアゲをして暮らしていた。そんなレオの噂を聞き、後見者を探し続けていた番長の森紋児は彼に戦いを挑む。
元々、窪田正孝目当てで見ていたガチバンですが、物語も嫌いじゃないし、前後の繋がりもあるので、見てみました。ひとでなしのレオは勇人に敗れ、裏稼業も追われ、ますます人を人だと思わない様子を強めていきます。一方の、紋児は番長として、後輩の頼みは例えどんなものであっても聞くという男ぶり。きっと勇人に言わせれば「馬鹿じゃねえの」といったところでしょう。何もなければただその2人が、一番強い存在をかけて戦う訳ですが、レオは高校に通う間に少しずつ人間っぽくなっていきます。ダークヒーローにとって僅かな人間性は、寧ろ命取りでもあるのです。心愛が望む心の底からの人でなしが、彼の強い理由でもあったのに、それが欠けるのはとても恐ろしいことだと思います。心愛の好きなレオが消え始めているガチバン スプレマシー2でした。
ガチバン エクスペンデット(黒永勇人不在2)
ぶらっくどくろ団で仲間だった中島に呼び出され、紋児が上京すると彼はヤクザになっていた。そこに現れた中島の兄貴分である組の次期二代目と揉み合いをしているうちに相手の持っていたドスで紋児は二代目を刺してしまう。逃げ出した紋児を見つけ出したのは、北関東の集団「飛羅睨悪」の元総長の京平だった。
私が紋児を見直すきっかけとなったガチバン エクスペンデット。ここで今までの学ラン下パーカーの紋児から、短ランに着替えて、更にカッコいいだけではなく、窮地に追い込まれてもなお、仲間を守り抜く紋児の番長たる姿と、冷静さは今までのコメディ風の紋児のガチバンでは表現しきれなかったところだったと思います。そう言う意味で、紋児の脱コメディはかなり成功していました。一方の京平は、田舎での小さな幸せでは耐えきれなくなり、みゆきと子供と一緒に東京にやってきたものの、ヤクザに堕ちるという有様で、離婚され孤独になります。「小さな幸せを求めてたんじゃなかったのかよ」という声がどこかからか聞こえてきそうな感じです。紋児も京平も結局は仲間や組織によって傷ついている。そして、紋児は刺され過ぎ・・・。異なるように見えて、実は似ているのかもしれない紋児と京平のガチバン エクスペンデットでした。
ガチバン クロニクル
番長不在の間、衣笠高校は殴りこみをかけられ、休校状態になっていた。そんな時に戻ってきた紋児は、後輩の松田やレオと共に不良のランキングサイトFUCK BOOKで順位を上げ、衣笠の汚名を返上しようとする。そこに、よっちゃん先輩の代わりに慰謝料を貰いに勇人がやってきて、レオと再会を果たし一触即発の雰囲気となる。
初めに言いますが「ガチバン クロニクル」はシリーズの中で一番好きになれない話でした。勇人と紋児とレオの3人が揃うとなれば、否が応でも期待するのに、それでやったのがダンスってどういう・・・。元々、このクロニクルとULTRA MAXが同時に製作されていたということを考えれば、コメディとシリアスでバランスが取れるのかもしれないけれど、今まで以上にファンタジー(現実性が薄い)話で受け入れにくかったです。紋児だって死ぬような思いをしてきたのに、衣笠に戻って一転ドラマを撮ってダンスするアンバランスさ。現実の世界=学校外という構図はとても分かりやすく明確で、高校生の紋児であっても、学生でも社会人でもない勇人も、一歩学校の外に出てしまえば厳しい世の中が待っていて、逆に学校にいさえすれば、馬鹿みたいなことで笑っていられる、というのが面白いくらいにはっきりしていました。そこに留まる紋児と、そこには居られない勇人の対比が哀しいガチバン クロニクルでした。
ガチバンULTRAMAX
衣笠高校を後にした黒永勇人は、吸殻を道に捨てたところを見知らぬ女の子に咎められる。そのころ偽募金活動で稼いでいたよっちゃん先輩のもとに「活動を手伝いたい」とあの時の女の子、星良(永野芽郁)が現れ、言い合いをしているうちに距離が縮まっていく。そんな中、勇人が場末のスナックの用心棒として働いていると、常連のヤクザの組長に気に居られ、組に入らないかとスカウトされる。それが気に食わない、新入りヤクザの忠臣(山田裕貴)と度々衝突しあい、事件が起こる。
現段階での最新作、ガチバンULRTAMAX。クローズEXPLODEと同日公開だったので、こちらの関係者は意識していたようですが、私は断然ガチバンの方が好きでした。まず物語で印象的なのは、白血病の少女・星良との関係。恋、とまではいきませんが、のんのんや潤さんよりは意識的につき合っていたと思います。何と言っても星良は積極的だったし。勇人がこれほどまでに誰かの為に自分自身を奮い立たせていることは初めてだったのです。それでもなければ、勇人は好き好んでヤクザの方に転がろうとはしない筈。勇人の中で重要なのはお金でも仲間でもなかったからこそ、簡単に銃を取ることができたのです。一方の忠臣は、おそらく勇人と同じような人生を送ってきたのだと思います。それでもまたしても違うのは、一人で居るのかどうかという1点です。そこで忠臣は誰かと群れることを望んだ、愛されたいと望んだ。だからこそ、組長の気持ちにも応えたかったし、兄貴分のことも裏切りたくはなかった。けれど、それではヤクザは務まらない。何か最も大切なものを犠牲にする力がなくてはのぼりつめていくことはできない。勇人との喧嘩でそこに決心がついたのだろうと信じています。結果として、勇人は銃を持って行かなくてよかったけれど、そうしていても後悔はなかっただろうし、逆に決心したことを叶えられなかったことに後悔しています。きっといつか元気になって星良が戻ってきても、走って会いに行くようなことはできない。勇人が不器用過ぎてつらい。純粋で、盲目的な勇人が見られるガチバンULTRAMAXでした。
ところで、製作がメディアファクトリーからKADOKAWAになったのには何かあったのでしょうか。