2014/04/14

クローズEXPLODE

 まず、このレビューらしきものは確実にネタばれしてますのでご了承ください。そして、おそらく豊田利晃監督の映画を何本か観てきた人の方が何言ってるかだいぶ分かるかと。


【ストーリー】
ストーリー:新学期を迎えた鈴蘭高校では空席となった頂点をめぐり、野心的な新3年生たちが火花を散らす。しかし、そんな抗争に興味を示さない3年の転校生・鏑木旋風雄(東出昌大)と好戦的な新入生・加賀美遼平(早乙女太一)の登場により、校内の勢力図は大きく変わろうとしていた。一方、そんな学内抗争に加え外部の不良勢力が不穏な動きを見せており……。(シネマトゥデイ)
 
【スタッフ』
監督: 豊田利晃
原作: 高橋ヒロシ
脚本: 向井康介 / 水島力也 / 長谷川隆

【キャスト】
東出昌大(鏑木旋風雄
早乙女太一(加賀美遼平)
勝地涼(小岐須健一)
岩田剛典(柴田浩樹)
ELLY(山下甲兵)
遠藤雄弥
柳俊太郎
KENZO(高木哲次)
深水元基(リンダマン)
やべきょうすけ(片桐拳)
高橋努
板尾創路
浅見れいな
高岡早紀
永山絢斗(藤原)
柳楽優弥(強羅徹)



 観てみました、『クローズEXPLODE』今までの二作は映画館にさえいかなかったのに何故、今回はわざわざ社会人料金で、初日一回目(バルト9)へ入ってきたのか。私にもわかりませんが、一つ言えるのは、期待値が低過ぎて逆にどうなんだろうみたいなアレ。そんなことは置いておいて書きたいことが沢山あるのです。

 まず、ストーリー。これは前回と同じです、以上。と言っても良いと思ったのですが、ちょっと説明すると、転校生してきた三年の鏑木旋風雄(東出昌大)が他校との抗争や、ヤクザとのあれこれを乗り越えて、鈴蘭高校のトップを目指し、最終的にはラスボスのリンダマンに全部持って行かれる、という話です。いろいろあるにはあるんだけれど、大筋はこんなところ。で、これを書くにあたって『クローズ エクスプロード 原作』で調べてたんですけど、その中に「『クローズ』や『クローズZERO』に被害を出してないか」というような内容の書きこみがあって。確かに、『ZERO』の滝谷源治が卒業してから一ヶ月後と考えて、今回のメンツが出てこないのはおかしいかもしれない。けど、まあそんなことはどうでも良かった私は、これが映画のオリジナルストーリーと知っていろんなことが腑に落ちました。というのも今回かなり、前二作との違いがあって、相当に豊田監督の映画だったなあと。

 そう思う所は何か所もある上に、豊田監督のファンだったら楽しめるポイントが多い。ストーリーということで一番気になったのは、主人公の鏑木が喧嘩をしない理由は、彼の父親にあって、それは父親がボクサーで、試合で死んで家族がバラバラになってみたいな流れがあるんですけど、『豊田利晃 ボクシング』でもう完全に『アンチェイン』だなって。

アンチェイン
ここで「監督どんだけボクシング要素好きなの?」となるのが私です。お父さんがボクサーだったと観てる人に知らされてからというもの東出君はシャドーボクシングをしたりなんだりとボクシング推しになります。ちなみに片桐拳役のやべきょうすけ三池監督関連で(キック)ボクシングができる。まあとにかく、豊田監督っぽいストーリーだな~みたいなことです。
 
 その人らしさというのは音楽にも表れてました。特に「あ!」となったのは二回目のライブハウスのシーンでdipが演奏してた時。まあ大体使われてるよねとなるのが自分でも気持ち悪い。その他の、サウンドトラック&BGMにも豊田監督らしく、荒々しいギターサウンドが使われていて、それだけでやっぱり前作とは違うなと感じられます。

 キャスティングで言えば、主要メンバーは特に何と言うこともないのですが、引き続きやべきょうすけが出ていたのは普通のようで意外でした。これだけ、キャスティングが一新されていて、これだけ三池崇史色の強い俳優さんがいるということがなんというか不思議な感じ。一方で、豊田監督お馴染みの俳優さんがやっぱり今回も。まずは、渋川清彦。凄く朴訥な「兄さん」で、東出君が何回か「兄さん」って呼ぶそれで、アイドルのあれを思い出してしまうのがなんかつらかった。兄さん。そして、鬼丸ともう一人は板尾創路。今まで、三池監督の映画の中ならヤクザは大体遠藤憲一とか、『新仁義の墓場』の岸谷五郎とかそういう内臓の中から「ヤクザです!」みたいな人が出てきていたのに、それが板尾さんになるとなんていうか、一気にエセな雰囲気が出てきてそれはそれで良い。ヒトデナシ度はなかなかなものでした。それより鬼丸さんって言って通じてほしい今日この頃。

 一人一人で言うと、東出君は好青年な感じが抜けない。悪いことではないんだけど、「何をしでかすか分からない」というような恐怖は感じられなかった。ただ、元モデルなだけあって凄く背が高く、大体のヤンキーがそうであるように小さな男達が戦いを挑んでも勝てなさそうなリーチの差に絶望を感じざるを得ない。

 加賀美役の早乙女太一は複雑な状況下において孤独だという設定なのですが、もう少しここと藤原(永山絢斗)鏑木の孤独チームをコネクトさせて、それを戦ううちに何らかの形で消化していって表現してくれるとありがたかった。今のままは脳内保管するしかないので誰か一緒に苦しんでほしいくらいです。で、女形をやってきただけあってなのかどうかは分かりませんが、加賀美は非常にメス的な立ち位置でした。豊田監督は今までも恋愛的な要素は出来るだけ排除してきた人なので、『クローズ EXPLODE』でも前作で言う黒木メイサ的な人間は存在せず、そのことでより男達の繋がりが強化され、オスメスな役割が同性の中で行われているというのが私の持論です。今回特に、鏑木と加賀美加賀美と藤原藤原と柴田の関係は、孤独・憧れ・憎しみいろんな感情で複雑に繋がっているところなのでとても大事だとは思うのですが、それを描いたら終わりが見えないフラグなので仕方ない。それでも、加賀美鏑木と戦う前に「俺勝ったら友達になってください」と言ったシーンはぐっときました。いろんな意味で。

 強羅は、というか柳楽優弥はちょっと見ない間に山に居たかのようなワイルド感で私たちを驚かせ、みんなも気になる高身長、モデルの柳俊太郎は喧嘩中にオカマと言われる始末。でも、なんだかんだ鏑木のリーチを考えて真正面から戦えるのって柳君くらいしか居ないんじゃないかと思うの、実は。そして永山絢斗は、豊田監督が使ってると瑛太のことをより強く意識してしまいますです。でも、不甲斐ないどっちつかずの男を本当に上手く演じていたと思います。

 ここで、凄くどうでもいいことを共有したいと思います。黒崎工業高校(鈴蘭高校の敵対高校)の現ナンバー2がチョンジュニョンにとても良く似ています!!!

俳優の三浦力(ちなみに妻子持ち)

 死神というか、死にそうなカンドンウォンというか、目の下の隈が私にそう思わせるのだと思います。ああ、もしくは中国の俳優さんっぽいところ。スターダスト所属の三浦力さんの紹介でした~。

という、誰の為にもならないことを書きましたが、兎も角ストーリーよりも俳優やその他豊田監督の映画について考えてながら観てしまったので、自分で物語を補ってもう一回ぐらい観に行きたいです(多分行かない)